Webの仕事を始めてから、20年以上が経ちました。
その間に、ホームページを取り巻く環境は大きく変わりました。
パソコンで見ることが中心だった時代から、スマートフォンが当たり前になった。
静的なページが多かった時代から、WordPressやMovable TypeなどのCMSが広く使われるようになった。
検索の仕組みも、広告の方法も、更新の仕方も変わった。
最近では、AIを使って文章や画像、コードを作ることも珍しくありません。
技術も、求められることも、仕事の進め方も変わり続けています。
その一方で、20年以上続ける中で、変わらなかったこともあります。
それは、まず状況を見て、相手の話を聞き、本当に必要なことを考えることです。
技術は変わっても、困っている人がいることは変わらない
Webの技術は、次々と新しくなります。
新しいサービスが生まれ、便利なツールが増え、以前は難しかったことが簡単にできるようになります。
制作会社として、技術の変化へ対応することは必要です。
ただ、相談の入り口にいるのは、いつも人です。
- ホームページが古くなって困っている。
- 更新できずに困っている。
- 誰へ相談すればよいか分からない。
- 今の制作会社とうまく話が進まない。
- 何を直せばよいのか判断できない。
使う技術が変わっても、こうした悩みがなくなるわけではありません。
だから私たちは、技術の話から入るのではなく、まず何に困っているのかを確認します。
新しい技術を使うことより、その人や会社の状況に合っているかを考える。
これは、仕事を始めた頃から変わっていません。
すぐに答えを出さない
経験を重ねると、相談を聞いた時点で、いくつかの解決方法が思い浮かぶようになります。
過去に似た事例があれば、原因の見当もつきやすくなります。
それは、長く続けてきたからこその強みです。
ただ、経験があることと、すぐに答えを決めてよいことは別です。
同じように見える相談でも、会社の状況、担当者、予算、目的、運用体制は異なります。
以前うまくいった方法が、今回も正しいとは限りません。
そのため、経験を答えの近道として使うのではなく、確認すべき点を増やすために使います。
- まず見る。
- 話を聞く。
- 分からないことを確認する。
- 複数の可能性を考える。
急いで答えを出すより、適切な判断へたどり着くことを大切にしています。
分からないことは、分からないと伝える
Webの仕事には、調べなければ分からないことがあります。
- 他社が作ったシステム。
- 古いサーバー環境。
- 突然起きた不具合。
- 外部サービスとの連携。
- 施策を行ったあとの結果。
その場で答えられないと、頼りなく見えるのではないか。
そう考えて、分かったように説明したくなることもあるかもしれません。
ただ、推測を確定事項のように伝えると、あとで話が変わります。
お客様にも、余計な不安や負担をかけてしまいます。
- 分かっていること。
- まだ分からないこと。
- 確認が必要なこと。
- 考えられる可能性。
これらを分けて伝える。
20年以上仕事を続けてきても、この姿勢は変わりません。
むしろ、経験が増えるほど、簡単に断定できないことが分かるようになりました。
必要のないものは勧めない
制作会社としては、提案できるものが多いほど売上につながります。
- ページを増やす。
- 機能を追加する。
- システムを入れ替える。
- 保守契約を結ぶ。
- 広告やSEOを提案する。
ただ、できることをすべて勧めることが、お客様のためになるとは限りません。
今あるサイトを直すだけで十分なことがあります。
新しく作るより、先に情報を整理した方がよい場合もあります。
高機能な仕組みより、簡単に続けられる方法の方が合っていることもあります。
必要なことには、きちんと費用をかける。
必要のないことは、無理に勧めない。
今ではなく、後から考えた方がよいことも伝える。
これは営業の工夫ではなく、仕事を続けるうえで守りたい姿勢です。
作って終わりにしない
ホームページは、公開した直後が最も新しい状態です。
その後、会社も事業も変わります。
情報を更新しなければ、実際の会社とホームページの間に差が生まれます。
技術的な管理をしなければ、安全に使い続けることも難しくなります。
だから、制作だけで仕事を区切らないようにしてきました。
- 公開後の更新。
- 不具合への対応。
- 運営方法の相談。
- 新しい課題の整理。
- 必要に応じた改善。
すべてを継続契約にするという意味ではありません。
困ったときに、また相談できる関係を大切にするということです。
一度作って終わるのではなく、必要なときに状況を見直す。
その考え方も、長く変わっていません。
長く続けるより、長く信頼してもらう
20年以上続けてきたこと自体は、一つの経験だと思います。
ただ、年数だけで信頼されるわけではありません。
長く続けていても、目の前の仕事が雑であれば意味はありません。
過去の実績が多くても、今の相談に誠実に向き合わなければ信頼にはつながりません。
大切なのは、何年続けたかより、その間にどのような判断を積み重ねてきたかです。
- 約束できないことを約束しない。
- 必要な説明を省かない。
- 分からないことをごまかさない。
- 無理な提案をしない。
- 問題が起きたときに、まず状況を確認する。
一つひとつは、特別なことではありません。
ただ、こうした基本を続けることが、長く相談していただける関係につながると考えています。
仕事は、一人では続かない
会社が20年以上続いたのは、自分たちだけの力ではありません。
仕事を依頼してくださったお客様がいる。
困ったときに相談してくださった方がいる。
長く運営を任せてくださった会社がある。
協力してくれた制作者や専門家がいる。
さまざまな人との関係があって、仕事を続けられました。
ホームページ制作は、一人で完成させる仕事ではありません。
お客様から事業や現場について教えていただく。
必要な情報を一緒に整理する。
制作する側も、それぞれの専門性を持ち寄る。
公開後は、運営する人が育てていく。
相手を尊重し、情報を共有し、役割を確認する。
良い仕事には、技術だけでなく、信頼できる関係が必要です。
この考えも、これまで変わらず大切にしてきました。
変わることを受け入れる
変わらないことを大切にする一方で、変わることも必要です。
以前の方法にこだわり続ければ、今の環境に合わなくなります。
- 使う技術。
- 制作の進め方。
- 情報の届け方。
- 運営の仕組み。
- 自社のサービス。
必要に応じて見直し、学び直し、変えていかなければなりません。
変わらないのは、方法ではありません。
判断の基準です。
新しいものだから使うのではなく、本当に必要かを考える。
昔からの方法だから残すのではなく、今も役に立つかを確認する。
変えることと、変えないことを分けて考える。
その基準があれば、環境が変わっても流されにくくなります。
会社の規模より、相談しやすさを大切にする
会社が成長することや、仕事の規模が大きくなることは悪いことではありません。
ただ、規模を大きくすることだけを目標にはしてきませんでした。
困ったときに相談しやすいこと。
状況を理解している人と話せること。
小さなことでも、必要なら確認できること。
こうした距離感を大切にしたいと考えています。
大きな案件だけを仕事と考えず、小さな修正や運営の相談にも意味があります。
ホームページの問題は、小さいうちに相談できれば、大きな負担にならずに済むことがあります。
「こんなことを聞いてよいのだろうか」と迷わず相談できる。
その関係をつくることも、ギガデザインが続けてきた仕事の一つです。
良い仕事は、派手には見えないことが多い
Webの仕事では、見た目の変化や数字の成果が注目されます。
- 新しいデザイン。
- 大きく増えたアクセス。
- 問い合わせ件数。
- 新しい機能。
もちろん、それらも大切です。
ただ、実際の仕事には、外から見えにくい部分があります。
- 情報の抜けを確認する。
- 関係者の意見を整理する。
- 不具合の原因を切り分ける。
- 更新しやすい形へ調整する。
- 不要な作業を減らす。
- 問題が起きないように保守する。
大きな成果として見えなくても、こうした積み重ねが運営を支えます。
- 何も起きなかった。
- 迷わず更新できた。
- 必要な情報がすぐに見つかった。
- 困ったときに相談できた。
そうした状態をつくることも、良い仕事だと思っています。
20年続けて、より大切になったこと
仕事を始めた頃より、できることは増えました。
経験した案件も、扱える技術も増えました。
ただ、できることが増えるほど、何をするかより、何をしないかの判断が重要になりました。
知識が増えるほど、分からないことを正直に伝える必要も感じるようになりました。
制作の経験が増えるほど、作る前の整理と、作った後の運営が大切だと分かりました。
20年続けて変わらなかったことは、同じやり方を続けたことではありません。
- 相手の話を聞くこと。
- 状況を整理すること。
- 本当に必要なことを考えること。
- 正直に伝えること。
- 長く相談できる関係を大切にすること。
これらは、仕事を続けるほど、以前より大切になっています。
これからも、最初に戻る
これから先も、Webの環境は変わると思います。
AIの活用が進み、制作の方法も大きく変わるかもしれません。
今ある技術やサービスが使われなくなることもあるでしょう。
その変化には、これからも対応していきます。
ただ、仕事を始めるときは、最初に戻ります。
- 何が起きているのか。
- 何に困っているのか。
- 何を目指しているのか。
- 本当に必要なことは何か。
話を聞き、状況を見て、一緒に考える。
分からないことは調べ、必要のないものは勧めない。
作って終わりにせず、困ったときにまた相談できる関係をつくる。
20年続けて変わらなかったことを、これからも変えずに続けていきたいと思っています。
Season01を終えて
Season01「仕事と向き合う」では、ギガデザインが仕事をするときに大切にしていることを書いてきました。
- 状況整理から始めること。
- 作ることを目的にしないこと。
- 必要のないものを勧めないこと。
- 問題を一つに決めつけないこと。
- 初回相談で目的や背景を確認すること。
- 公開後も運営と改善を続けること。
- 制作会社の役割を、制作だけに限定しないこと。
- 自社サイトも、会社の変化に合わせて育てること。
それぞれ別の話に見えても、根にある考えは同じです。
すぐに答えを出すのではなく、まず状況を見る。
自分たちが売りたいものではなく、その会社に必要なことを考える。
正解を押しつけるのではなく、相手が判断できる状態をつくる。
この姿勢を、これからも一つひとつの仕事の中で積み重ねていきます。