私たちが実際の診断で見ている7つの項目について、使うツール、確認する箇所、判断の基準値を順にお伝えします。
まず現状を把握したい方に向けた内容です。
必要なのはGoogle Search Console、PageSpeed Insights、Google Analytics 4の3つです。
確認する項目は7つあります。
サイト基盤・技術面、セキュリティ、表示速度、スマホ表示、SEO基本項目、問い合わせ導線、アクセス解析です。
表示速度はCore Web Vitalsの3指標で判定し、LCPは2.5秒以下、INPは200ミリ秒以下、CLSは0.1以下が良好の基準です。
問い合わせフォームは実際に送信し、メールが届くかを必ず確認します。
自分で確認できないのは、不具合の原因が表層にあるか構造にあるかの切り分けと、複数の症状のうちどれが根本原因かの特定です。
確認の前に用意するもの
ホームページの状態を確認するために、有料のツールは必要ありません。
次の3つがあれば、7項目の大部分を確認できます。
| ツール | 用途 | 費用 |
|---|---|---|
| Google Search Console | 検索エンジンからの見え方、インデックス状況、スマホ対応 | 無料 |
| PageSpeed Insights | 表示速度(Core Web Vitals) | 無料 |
| Google Analytics 4 | アクセス数、流入経路、離脱状況 | 無料 |
Search ConsoleとAnalyticsは、サイトへの登録・設置作業が必要です。
まだ設置していない場合は、項目7から先にお読みください。
設置していない状態では、他の項目の判断精度も落ちます。
加えて、手元に用意しておくと確認が早くなるものがあります。
- 制作会社とのやりとりの記録(過去1年程度)
- 現在の契約内容(保守契約の有無、サーバー契約)
- CMSの管理画面のログイン情報
サイト基盤・技術面を確認する
何を見るか
サイトが動いている土台の状態を確認します。
- CMSの種類とバージョン
- PHPのバージョン
- HTTPS化されているか
- サーバーの応答速度
確認の手順
1. HTTPS化の確認
ブラウザのアドレスバーを見てください。
https:// で始まり、鍵マークが表示されていれば対応済みです。
http:// のままの場合、または「保護されていない通信」と表示される場合は対応が必要です。
あわせて、http:// でアクセスしたときに https:// へ自動的に切り替わるかを確認します。
切り替わらない場合、リダイレクト設定が漏れています。
2. CMSのバージョン確認
WordPressの場合、管理画面にログインし、ダッシュボードで現在のバージョンを確認できます。
更新可能な通知が出ていれば、それだけ遅れているということです。
3. PHPのバージョン確認
WordPressの管理画面「ツール」→「サイトヘルス」→「情報」→「サーバー」で確認できます。
判断の目安
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| PHPがサポート期限を過ぎたバージョン | 要対応(緊急度:高) |
| CMSがメジャーバージョンで2世代以上遅れている | 要対応 |
| HTTPS未対応 | 要対応(緊急度:高) |
| 更新すると表示が崩れるため更新を止めている | 構造の問題の可能性 |
最後の項目は要注意です。
更新を止めている状態は、セキュリティ上の危険が蓄積し続けます。
セキュリティを確認する
何を見るか
- SSL証明書の有効期限
- CMS本体・プラグイン・テーマの更新状況
- バックアップの取得と、復元できるか
確認の手順
1. SSL証明書の期限
ブラウザの鍵マークをクリックすると、証明書の詳細と有効期限を確認できます。
自動更新の設定になっているかも、あわせてサーバー管理画面で確認してください。
2. 更新状況
WordPressの管理画面「更新」から、本体・プラグイン・テーマの更新可能状況が一覧で確認できます。
長期間更新されていないプラグイン(開発が止まっているもの)が含まれていないかも見てください。
3. バックアップ
ここが最も見落とされる項目です。
確認するのは「取得しているか」ではありません。
確認すべきは、「復元できるか」です。
バックアップが取得されていても、復元手順を試したことがなければ、いざというときに使えるかはわかりません。
契約している保守サービスがある場合は、復元の実績と所要時間を確認しておいてください。
判断の目安
セキュリティの問題は、単独ではリニューアルの理由になりません。
更新作業、脆弱性のあるプラグインの入れ替え、アクセス制限の追加——いずれも既存サイトに対して実施できます。
例外は、前章で触れた「更新すると崩れるため止めている」状態です。
この場合は構造の問題として扱います。
表示速度を確認する
何を見るか
Googleが定めるCore Web Vitalsの3指標で判定します。
7項目のうち、唯一、公開された数値基準がある項目です。
確認の手順
PageSpeed Insights にサイトのURLを入力します。
トップページだけでなく、問い合わせページと主要なサービスページも個別に確認してください。
ページによって数値が大きく異なることがあります。
結果画面では、「実際のユーザーの環境で評価する」セクションを見てください。
ここが実際の訪問者のデータです。
その下の「パフォーマンスの問題を診断する」は、擬似的な計測値です。
判断の基準値
| 指標 | 内容 | 良好 | 改善が必要 | 不良 |
|---|---|---|---|---|
| LCP | 主要なコンテンツが表示されるまでの時間 | 2.5秒以下 | 2.5〜4.0秒 | 4.0秒超 |
| INP | 操作に対する反応の速さ | 200ミリ秒以下 | 200〜500ミリ秒 | 500ミリ秒超 |
| CLS | 表示中に生じるレイアウトのずれ | 0.1以下 | 0.1〜0.25 | 0.25超 |
出典:Google「Web Vitals」web.dev
https://web.dev/articles/vitals(最終更新:2024年10月31日/2026年7月20日閲覧)
数値が悪かった場合
「不良」の範囲でも、それだけでリニューアルの理由にはなりません。
まず確認するのは次の3点です。
- 画像の容量 — 数MBの画像がそのまま使われていないか。
適切な形式・サイズに変換すれば大幅に改善します - 不要なスクリプト — 使っていないプラグインが読み込まれていないか
- キャッシュ設定 — キャッシュが有効になっているか
これらを改善しても基準に届かず、原因がテーマ自体にあると確認できて初めて、構造の問題として扱います。
スマホ表示を確認する
何を見るか
- レスポンシブ対応しているか
- タップしにくい箇所がないか
- 文字が小さすぎないか
確認の手順
1. 実機で確認する
最も確実な方法です。
ご自身のスマートフォンで、トップページから問い合わせ完了までを実際に操作してください。
パソコンの画面幅を狭めて確認する方法もありますが、実機とは挙動が異なることがあります。
確認するポイントは次のとおりです。
- 横スクロールが発生していないか
- ボタンやリンクが指で押しやすい間隔にあるか
- 文字を拡大しないと読めない箇所がないか
- 画像が画面からはみ出していないか
- 電話番号がタップで発信できるか
2. アクセス比率を確認する
Google Analytics 4で、スマートフォンからのアクセス比率と、デバイス別の離脱率を確認します。
スマホの離脱率がパソコンより明らかに高い場合、表示に問題がある可能性があります。
判断の目安
| 状態 | 判断 |
|---|---|
| 一部のページで崩れる | 改修で対応可能 |
| ボタンが押しにくい、文字が小さい | 改修で対応可能 |
| そもそもレスポンシブ非対応(パソコン用の画面がそのまま縮小表示される) | 単独でリニューアルの理由になる |
最後の項目は、7項目のなかで数少ない「単独で作り直しの理由になる」ケースです。
全ページのHTML構造に手を入れることになり、作業量が作り直しと変わらないためです。
SEOの基本項目を確認する
何を見るか
- title・メタディスクリプションの設定
- 見出し(h1)の構造
- インデックス状況
- 構造化データ
確認の手順
1. titleの確認
ブラウザのタブに表示される文字がtitleです。
主要なページを順に開き、すべて異なる内容になっているかを確認してください。
全ページ同じ、あるいは「ホーム」だけ、という状態は要対応です。
2. 見出し構造の確認
ページ上で右クリック→「ページのソースを表示」で、<h1> を検索します。
1ページに1つあるのが基本です。
複数ある、あるいは存在しない場合は要対応です。
3. インデックス状況の確認
Google Search Consoleの「ページ」レポートで、登録されているページ数と、登録されていないページ数を確認します。
もっと簡単な方法もあります。
Googleの検索窓に site:自社ドメイン と入力してください(例:site:gigadesign.jp)。
表示されるのが、検索エンジンに登録されているページです。
主要なページが出てこない場合は要対応です。
4. 構造化データの確認
Search Consoleの「拡張」セクションに項目が表示されていれば、何らかの構造化データが実装されています。
まったく表示されない場合は未実装です。
判断の目安
設定の問題は、すべて改修で対応できます。
title・見出し・構造化データの修正は、既存サイトに対して実施できます。
構造の問題として扱うのは、情報設計そのものが合っていない場合です。
次のような状態が該当します。
- 必要な情報がどこにあるかわからない
- サービスが増えて、ページの分類が実態と合っていない
- そもそも検索されている言葉と、サイト内の言葉が一致していない
これらはページ単位の修正では解決しません。
直すべきは中身ではなく、置き方だからです。
問い合わせ導線を確認する
何を見るか
- フォームが正常に動作し、メールが届くか
- CTAの配置
- 入力項目の量
- 完了ページの有無
確認の手順
1. 実際に送信する
これが最も重要です。
必ず実施してください。
ご自身でフォームから問い合わせを送信し、次を確認します。
- 送信が完了するか(エラーが出ないか)
- 担当者のメールアドレスに実際に届くか
- 迷惑メールフォルダに入っていないか
- 送信者への自動返信メールが届くか
「動いているつもりで、実は届いていない」は実務で頻繁に見られます。
サーバー移設後、メールアドレスの変更後、プラグイン更新後に発生しやすく、気づかないまま数か月経過していることがあります。
その間の問い合わせは、すべて失われています。
2. 完了ページの確認
送信後に専用のページ(サンクスページ)へ移動するかを確認します。
同じページ内に「送信しました」と表示されるだけの場合、コンバージョンを計測できません。
3. 入力項目の確認
必須項目がいくつあるかを数えてください。
項目が多いほど離脱は増えます。
本当に最初の問い合わせで必要な情報かを、項目ごとに見直します。
判断の目安
問い合わせ導線の問題は、ほぼすべて改修で対応できます。
フォームの修正、CTAの配置変更、項目の削減、完了ページの設置——いずれも既存サイトに対して実施できます。
構造の問題として扱うのは、サイト全体の構成が問い合わせを想定していない場合です。
アクセス解析を確認する
何を見るか
- Google Analytics 4が設置され、正しく計測しているか
- Search Consoleが登録・連携されているか
- コンバージョンが計測されているか
確認の手順
1. GA4の計測確認
GA4の「レポート」→「リアルタイム」を開いた状態で、別のブラウザから自社サイトにアクセスします。
リアルタイムに反映されれば、計測できています。
2. Search Consoleの確認
登録されているか、およびGA4と連携されているかを確認します。
連携すると、検索クエリとサイト内の行動を紐づけて見られます。
3. コンバージョン計測の確認
問い合わせ完了ページが、コンバージョンとして設定されているかを確認します。
前章で完了ページがなかった場合、この設定自体ができません。
判断の目安
アクセス解析は、リニューアルの理由になりません。
設置と設定の問題であり、サイトの構造とは無関係です。
ただし、7項目のなかで最優先で着手すべき項目でもあります。
解析が入っていないと、次のような判断ができないためです。
- 問い合わせが減った原因が、流入の減少なのか、サイト内での離脱なのか
- どのページで離脱が起きているのか
- スマホとパソコンで、成果に差が出ているのか
現状がわからなければ、何を直すべきかも決まりません。
自分で確認できないこと
ここまでの手順で、現在の状態はかなり把握できます。
ただし、自分では確認しにくい領域があります。
1. 表層か構造かの切り分け
各項目の状態はわかっても、その原因が表層にあるのか構造にあるのかの判断には、経験が必要です。
たとえば表示速度が「不良」だった場合、画像の問題なのか、テーマの問題なのか。
この切り分けを誤ると、改善しても数値が変わらない、あるいは不要な作り直しにつながります。
2. 複数の症状のうち、どれが根本原因か
症状が複数ある場合、それぞれが独立した問題なのか、ひとつの原因から派生しているのかは、外から見ただけでは判別できません。
問い合わせが減っている。
表示が遅い。
検索順位が下がっている。
この3つが別々の問題なのか、すべて同じ原因によるものなのか——ここを見誤ると、対処の順序も費用も変わります。
3. 優先順位の判断
課題が5つ見つかったとして、限られた予算でどれから着手するか。
この判断には、それぞれの影響度を見積もる必要があります。
まとめ
自分でできるホームページ診断の手順をお伝えしてきました。
要点は3つです。
1. 無料のツール3つで、大部分は確認できます
Google Search Console、PageSpeed Insights、Google Analytics 4。
この3つで7項目の多くをカバーできます。
2. 実際に操作して確かめる項目があります
とくに問い合わせフォームは、必ず自分で送信してメールの到達を確認してください。
届いていないまま数か月経過しているケースは、実際にあります。
3. 確認できるのは「状態」まで
原因が表層にあるのか構造にあるのか、複数の症状のうちどれが根本なのか——この切り分けは、外形的な確認だけでは判断が難しい領域です。
まず現状を把握することから始めてください。
確認してみたら思っていたより深刻ではなかった、という結論になることも少なくありません。
7項目それぞれが、改修とリニューアルのどちらにつながるのか。
その全体像は総合ページで解説しています。
ご自身での確認が難しい場合は、私たちが7項目を確認し、改修で足りるのか作り直しが必要かを根拠とあわせてお伝えします。
55,000円(税込)から承っています。